突然ですが、水平思考クイズってご存知でしょうか?
複数人で会話をしながら解いていくパズルの一種で、別名ではラテラルシンキングパズルとも呼ばれます。
また「ウミガメのスープ」という有名な問題があり、このパズル自体をウミガメのスープと呼ぶこもあります。
「もちろん知ってるさ!」「ウミガメのスープ大好きだぜ!」という方々向けにこの記事を書いていますので、ご存知でない方は以下の概要をお読みいただけると幸いです。
プレイ人数:2人以上であれば何人でもOK
プレイ時間:15分~90分程度(問題の難易度による)
【遊び方】
- 進行役ひとりと、回答者ひとり以上に分かれる
- 進行役は回答者達に、一見不可解に思える状況を問題として伝える
- 回答者は進行役に「イエス」か「ノー」で答えられる質問をする
- 進行役は、上記の質問に「イエス」「ノー」「関係ない」の中から応答する
- このやりとりから、回答者は物語の真相にたどり着くことを目指す
以下は例題となります。
【例題】
父が出張から帰ってきた日、ペットの猫が姿を消した。一年後、父がまた出張に行くことになった。その日に猫が姿を現した。どういう状況だろうか?
【質問と応答の例】
「猫は父のことが嫌いでしたか?」→NO
「父の出張先は関係ありますか?」→NO
「猫は1年間同じ場所にいたのですか?」→YES
「猫は生きていますか?」→NO
【真相】
父が出張から戻り、大きなトランクを開けて荷物の整理をしていたときに、ペットの猫がそのトランクに入りこんで寝てしまった。
父はそのことに気がつかず、トランクを押入れの奥にしまいこんでしまった。
家族は猫を探したが見つからず、どこか外にでも行ったのだろうと思っていた。
数日経っても猫の姿は見えず、そのまま野生の世界を生きているのかと思い、家族は諦めてしまった。
一年後、父が再び出張をすることになった。
トランクを取り出そうとするとなにやら異臭がする・・・。
この水平思考クイズは、実は私の人生において非常に重要な存在です。
仕事で辛いことがあったとき、水平思考クイズを思い出すことで乗り切ることができました。
水平思考クイズが何故そのような重要な存在になったのか、今回は私の昔話をさせていただきます。
水平思考クイズ好きな人だけではなく、社会人になって昔大好きだったことをやれていない人たちにも是非お読みいただきたいです。
水平思考クイズとmixiのなかまたち
今から15年ほど前、私は就活中の大学3年生でした。
当時人気のmixiをやっており、いくつかのコミュニティに参加をしていました。
mixiのコミュニティとは、見ず知らずの人たちが集まり好きなテーマを話せるグループのことで、誰かがトピックを投稿しみんなでコメントしあう掲示板機能がメインとなります。
また掲示板とは別に、個人に直接メッセージを送るダイレクメッセージ機能もあります。
私が参加していたコミュニティに水平思考クイズを扱うものがありました。
そこは活況を帯びており、ほぼ毎日誰かが掲示板にクイズを投稿してみんなで楽しんでいました。
mixiの掲示板でのやり方は少し特殊なので、簡単に説明しておきます。
- 出題者が掲示板に水平思考クイズの問題を投稿する
- 回答者達は質問をどんどんする
- 出題者は「YES」「NO」、もしくは「関係ありません」と応答をする
- 答えを思いついたらダイレクトメッセージ機能で出題者に連絡する
- 正解者が出ると、出題者は掲示板にその方のハンドルネームを記載する
- 出題者は出題から原則1週間後に真相を公開する
良いクイズを出題した人やするどい質問をした人を賞賛しあうなど、暖かい雰囲気で運営されていて、居心地が良かったことを覚えています。
実は私はそのコミュニティで、自作の水平思考クイズを投稿していました。
本やインターネットから見つけた話を問題にすることが一般的で、私のように物語から自作する人は珍しく、周りからも一目置かれていたと(勝手ながら)思っています。
「トリックスター」と自ら名乗っても問題ないでしょう。
自作の問題を投稿するときは本当にドキドキして、みんなが食いついて質問をしてくれたり、ちゃんと真相にたどり着いたりしてくれたときには、大きな喜びがありました。
2人の最強回答者
出題をする側で私は少し変わった存在でしたが、回答をする側にも目立った存在が2人いました。
1人は出題された問題をことごとく瞬時に解答してしまう女性で、コミュニティ内では「瞬殺の女王」いう異名を持っていました。
コメント内容はいつも無駄が無く、クールな方でした。
もう1人は抜け漏れの無い質問をして、じわじわと真相にたどり着くタイプの女性でした。
異名はなかったと思いますが、プリティな猫のプロフィール写真が印象的だったので、勝手に「プリネコさん」と呼ばせていただきます。
2人は対照的なタイプではありましたが、共通していたのは、2人ともどの問題の正解者欄にも名を連ねていたことでした。
どんな難問が投稿されても、この2人に解けない謎はなく、まさに最強の回答者と言えるでしょう。
そんな最強回答者の2人と、出題者として一目置かれているトリックスターこと私との対決は必然のことでした。
最強解答者 VS トリックスター
水平思考クイズは、すぐに正解されてもつまらないし、ひねりすぎて誰も解けない問題でも白けてしまいます。
何度かハッとする展開があり、時間をかけて限られた数名だけが真相にたどり着けるような問題がバランスが良く、良問とされています。
私は何度か問題を出すも、最強解答者の2人には全く歯が立たず、すぐに真相解明をされてしまっていました。
それが悔しくて、2人に瞬殺されずに展開も面白い問題作りを目指して、日々頭を悩ませていました。
考えに考えて、これはすぐに解かれないだろうと自信を持って投稿したのが、4作目の「THE LETTER」という問題でした。
この問題を投稿すると、普通の問題は遅くても30レス目(レス=トピックについたコメント数。誰かが質問をして+1レス、それに答えて+1レス、と増えていく)ぐらいで正解者が出始めますが、50レスを過ぎても真相にたどり着く気配がありません。
狙い通り、瞬殺の女王も苦戦をしています。
プリネコさんも持ち前の質問力で外堀を埋めていきますが、真相にはなかなか迫れていません。
いいぞいいぞと思って、始めは私も喜んでいました。
しかし60レス、70レス、80レスと進んでも正解者が一向に現れず、「捻りすぎて誰も解答出来ない駄作を投稿してしまったのではないか」と、次第に焦り始めてきました。
結局誰も解けない問題だった場合、どっと白けてしまい、瞬殺されるよりも最悪な事態となります。
誰か早く正解に辿り着いてほしいと願っていた最中、93レス目まで伸びた時に最初の解答者があらわれました。
それはやはり、瞬殺の女王でした。
私は安堵からふうっと息を吐きました。
それに続きプリネコさんも正解に辿り着きました。
そして私が解答を全体に公開したのは100レスを超えてからでした。
このコミュニティの最長トピックとなり、また正解者が出てくれたこともあり、「THE LETTER」は稀に見る良難問として、名を刻むことになったのです。
2人からのメッセージ
THE LETTERにより、私は出題者として一皮向けた実感がありました。
あのときの興奮を忘れられずに、私はその後も問題作りを続けました
最強回答者の2人も毎回参加してくれて、そしてきっちり正解まで辿りついてくれました。
毎日が充実しており、家でパチパチPCをいじっているだけなのですが、当時が私の青春だったのかなぁと今は思います。
そして私にとって、忘れられない出来事が起きます。
ある日、ダイレクトメッセージ機能で最強回答者のお2人から連絡が来たのです。
原文から少し抜粋と編集をしてご紹介をさせていただきます。
プリクマさんからは、「(猫杉さんの)問題はいつも完成度が高く、感心感動させられます。間違いなく出題者の素質があると思います。」というこの上なく嬉しいお言葉をいただきました。
瞬殺の女王さんからは、「答えを思いついた時、やられた!とにんまりしました。公に言うと角が立つので内緒ですが、私にとっての最高の出題者はあなたです」という出題者冥利に尽きるお言葉をいただきました。
お顔も本名も知らないお二人ですが、このような温かいやりとりがあり、私の中では絆を感じていました。
この出来事は15年経った今でも私の心に残っており、辛いことがあって自分に自信が無くなっても、これを思い出すことで立ち直ることができます。
これから、やりたいこと
長くなりましたが、これが水平思考クイズが私にとって非常に重要な存在である理由です。
先日久しぶりにコミュニティを覗いたところ、10年ぐらい前から更新が止まっている状態でした。
最強の女王はmixiを退会しており、プリネコさんもログインされている様子はありません。
私も学生時代あんなに熱くなって問題を作っていましたが、社会人になり忙しくなってから問題作りをやめてしまいました。
しかし今ブログを始めて、自分の強みだったり、好きなことを思い返したりしているうちに、当時のことを思い出しました。
私は自分で一から考えたことを発信していくことが大好きなんだと、改めて発見しました。
過去に作った問題や、今後も新しい問題を思いつきましたら、このブログでもご紹介していきたいと思います。
最後に、最強回答者のお2人がもしこの記事をご覧になられましたら、是非問い合わせフォームなどからメッセージをいただけると嬉しいです。
ハンドルネームは伏せていますが、内容を読んでいただければ、ご本人達にはきっと自分のことだとわかっていただけると思います。
15年も前の話で、奇跡のようなことではありますが、お2人からご連絡をいただける日を夢見て、このブログを続けたいと思います。
最後の最後に、瞬殺の女王さん、プリネコさん、内緒のやりとりを公開してしまい申し訳ございません。あまりに嬉しかったもので・・・どうかお許しください。
それでは本日は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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