相手を思いやりながら自分の意見を伝える「DESC法」

当ページのリンクには広告が含まれています。

前回の記事では、結婚は異文化交流であるため、どんな夫婦にもお互いに対立する考え方・価値観を持っている、という話をしました。

そして対立を回避するために、自分ばかりが変わろうとするのではなく、相手も譲ってもらうために「対話による交渉」が必要であるということも述べました。

今回は「対話による交渉」の具体的な方法についてご紹介したいと思います。

目次

価値観の対立は悪いことなのか

その前にそもそも、夫婦の考え方・価値観の対立が悪いことなのかどうかということを考えると、

実は違いがあること自体は悪いこととは言えません。

むしろ対立と向き合い、その解決策を生み出したとするならば、

これは哲学者ヘーゲルの示した弁証法による改善を体現していることになります。

弁証法とは、何らかの主張(テーゼ)があり、それと異なる主張(アンチテーゼ)をぶつけることで、より高次の主張(ジンテーゼ)を生み出す知的プロセスのことです。

DESC方のやり方

さて「対話による交渉」の話に戻ります。

重要なことは、自分が感情的にならないこと、そして相手を感情的にさせないこと、です。

今回はそのためのテクニックとして以下の頭文字をとった「DESC法」というものをご紹介します。

Describe(描写する)
Express(説明する)
Suggest(提案する)
Choose(選択する)

この手法はアメリカの心理学者ゴードン・バウアーらによって提唱されたらしいです。

以下のステップを順番通りに実施することで、相手を思いやりながら、自分の主張をしていきます。

STEP
Describe(描写する)

客観的事実を述べること、です。

STEP
Express(説明する)

自分の主観的感情を述べること、です。

STEP
Suggest(提案する)

自分の考える解決案や相手にしてほしい行動を提示します。ここで複数の案があってかまいません。

STEP
Choose(選択する)

提案した案の中から相手に選んでもらうことです。(この中からは選ばない、という選択の場合もあります)

この方法が効果的である理由としては、交渉術でもよく言われる「相手のYESをまずは引き出す」に有効だからではないかと、私は考えています。

どういうことかといいますと、

最初のDescribe(描写する)は客観的事実を述べますから、相手は頷かざるを得ません。

次のExpress(説明する)も話し手であるこちら側の主観的感情についてですから、これも相手は頷かざるを得ません。

このように最初の二つのステップで、相手から「YES」を引き出した上で、

3つめのSuggest(提案する)に入ることで、相手側にこちらの話を受け入れられる心理状態を作り上げることが出来ます。

ビジネスでよく言われる「結論から話せ」を真に受けて、Suggestから入ってしまうと、相手の感情を逆なでして交渉決裂に陥る可能性が高いでしょう。

この手法で重要なことは、最初のDescribe(描写する)の中に、客観的事実ではないことを混ぜ込まないこと、です。

例えば「昨日お皿洗いを私がやったよね」は客観的事実を表しているかと思いますが、「いっつもお皿洗いを私がやっているよね!」というとそれは事実ではない可能性があります。

本来はExpress(説明する)で伝えるべき主観的感情と、客観的事実が混ざってしまっています。

相手からすると、「いや確かにここ最近サボってたけど、時間があるときは自分もやってたし!『いつも』という言い方はおかしい!」と思われると、相手の最初のYESを引き出すことが出来ません。

そこで躓くと、次移行のステップに進んだとしても、相手はこちらの話を受け入れられる心理状態になっていないため、交渉はうまくいかないでしょう。

また提案した案を相手が飲むとは限りませんので、その場合はどういう展開に持って行くのか、ということも予め考えておくと粘り強い交渉が出来るようになります。

DESC方を使わない方が良いとき

DESC法は「アサーション」という概念に基づいたもので、相手を思いながら、自分の考えを伝えることになりますので、ビジネスシーンなど他の場面での活用も有効です。

さてそんなDESC法ですが、デメリットもあります。

それは相手を思いやりながらの対話になるため、こちらから強い主張ができなくなるという点です。

これはトレードオフの関係にあるので、回避しようのないデメリットです。

そんなデメリットがあるため、以下のような場合にはDESC法を使うことは避けた方が良いでしょう。

・社会的に受け入れられないことをやめさせる
・自分の精神がもたないことをやめさせる
・家族にとって大きな損失があることをやめさせる

上記が明確な場合はDESC法ではなく、すぐにでも考えを改めさせる必要があります。

もし相手が受け入れられないのであれば、相応のカウンターをこちらも用意し、断固たる決意を持って交渉にのぞむ必要があります。

逆に上記以外であれば、仮に交渉決裂になったとしても、多少自分が嫌な思いをするかもしれない程度の話ですので、相手を思いやりながら進めるDESC法が長期的に良い結果をもたらすでしょう。

意外かもしれませんが、

些細な違和感にこそ、日常的にDESC法を試していくべきと思います。

例えば「言い方を変えてほしい」「ティッシュが切れたら替えて欲しい」など、

些細な違和感でも積もり積もると大きなストレスになりますし、

仮に決裂しても、些細な話だから大きな影響はありませんし、

相手に伝えられただけでもストレスは軽減されるでしょう。

それでは本日は以上です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次