今回は鈴木 祐さんの書かれた「YOURTIME」の書評です。
この本をひと言であらわすと
「科学的根拠がたっぷりつめこまれた、時間感覚を調整する技法を学べる解説書」
です。
「仕事が忙しくて時間が無い」
「家事育児が忙しくて時間が無い」
「やることが多すぎてとにかく時間が無い」
「時間が無い」は多くの現代人が抱える悩みですよね。
この本を読むことで、時間感覚を調整する技法が学べます。
時間感覚を調整ことが出来れば人生の満足度を引き上げることが出来ます。
この本の概要と私が実際に取り入れたことをご紹介していきたいと思います。
こんな人におすすめ
こんな人におすすめです。
とりあえず全員
![](http://shimaedo.com/wp-content/uploads/2022/05/猫杉ニャン太郎_基本-150x150.png)
時間不足は多くの現代人の悩みですからね。
この本の概要
この本の概要をご説明します。
まずこの本では従来の時間管理の手法では、時間不足の問題を根本的に解決出来ないと述べています。
そもそも時間を管理するという発想に無理がある、のです。
確かに生産性を上げて一時的に余分な時間を作ることは出来るでしょう。
しかしそれは一時的なものであって、すぐに忙しい生活に戻ってしまいます。
たとえば仕事でEXCELのフォーマットを作り込むなど、生産性をあげるための工夫をしたとします。
これにより繰り返し作業が効率化され生産性が高まりますが、
そんな仕事の出来るあなたには次から次へと仕事が降ってきます。
そしてそれを受けている間に、同じ状態に戻ってしまう、ということです。
いやむしろ前よりも忙しい状態になることさえあります。
では従来の時間術は全く意味が無いのかというと、そんなことはありません。
従来の時間術を使うことで、メンタルの管理をすることが出来ます。
たとえば寝る前に明日の仕事が気になってしまったときに、
TODOリストで明日の仕事を全て書き出すとすっきりして眠れることもあるでしょう。
このように従来の時間術は、時間を管理するものではなく、幸福度を上げるための技法としてとらえなされるべきなのです。
さてここまでが背景です。
それでは時間不足の問題を解消するには、どうすればよいのか?
それが「時間感覚」を調整する、ことになります。
そもそも時間の正体とは、時の流れをどのように体感しているか、にすぎないのです。
時間感覚とは「予期」と「想起」の2つに分かれています。
それぞれ以下です。
予期:未来のことを頭の中で思い起こすこと
想起:過去のことを頭の中で思い返すこと
この2つを通して私たちは「時間がある」「時間が無い」という体感をしています。
よく言われることに、楽しいことは一瞬に感じられるがつまらないことは長く感じられる、ということがあります。
これがまさに時間感覚の話になるのですが、
同じ時間であっても体感として、短くしたり長くしたりすることが出来ます。
そしてこの時間感覚に関しては様々な技法によって調整していくことが出来るのです。
まず「予期」については「濃いか薄い」「多いか少ないか」で4パターンに分けられます。
予期が濃いとは、将来のイメージにつながりを感じられる状態です。(薄いは逆)
予期が多いとは、将来に発生しそうなイベントの数が多い状態です。(少ないは逆)
予期が濃い | 予期が薄い | |
予期が多い | 容量超過 | 浪費家 |
予期が少ない | 禁欲家 | 無気力 |
それぞれの特徴は以下となります。
容量超過:不安・焦り。圧倒される感覚による先延ばしが起きやすい。
浪費家:目先のことばかりして重要なタスクが滞りがち。
禁欲家:生産性は高いが、行きすぎると、人生の喜びを失うことも
無気力:無気力でどんなこともする気が起きない
次に「想起」については「正しいか誤りか」「肯定的か否定的か」で4パターンに分けられます。
想起が正しいとは、思い出した出来事が事実に合っている状態です。(誤りは逆)
想起が肯定的とは、思い出した出来事の解釈がポジティブ状態です。(否定的は逆)
想起が正しい | 想起が誤り | |
想起が肯定的 | 自身家 | 楽天家 |
想起が否定的 | 怖がり | 悲観主義 |
それぞれの特徴は以下となります。
自信家:生産性は高いが、自分の能力を過信して失敗することも
楽天家:タスクの所要時間をじっさいよりも短くみつもる失敗が多い。
怖がり:自己効力感の低さによる先延ばしが起きやすい
悲観主義:気分の落ち込みやイライラなどの感情に悩まされやすい
まずは自分がどのタイプなのかを知ることが重要です。
本書には簡単な質問にいくつか答えることで、自分のタイプを知ることが出来るワークがついています。
ご自身の時間タイプに即して適切な時間感覚を調整する技法を使うことで、時間不足の問題を解消し、人生の満足度を高めることが出来ます。
タイプごとにどのような技法が適しているのかが本書に多数記載されていますが、全ては書き切れないので、私が実際に取り組んて良かったと思ったものにに絞ってご紹介します。
![](http://shimaedo.com/wp-content/uploads/2022/05/猫杉ニャン太郎_基本-150x150.png)
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私は「容量超過」の「楽天家」でした。
私が実際に取り組んだこと
この本を読んで、私が実際に取り組んだことを3つご紹介いたします。
SSCエクササイズで予期の数を減らす
「SSCエクササイズ」は「開始/停止/継続」の頭文字を取った技法で、価値が低いタスクを特定し、「予期の数」をできるだけ減らすために開発されました。
YOURTIME P136
予期が多いタイプ(容量超過 or 禁欲家)向けに、予期の数を減らすのがSSCエクササイズです。
以下のステップによってやらなければならない(と思っている)タスクを振り分けます。
あなたが今後の1週間でやろうと思っていることをすべて書き出します。
リストアップしたすべてのタスクについて、社会的価値、緊急性、個人的価値、誰かに移譲できるか、という観点で点数付けをします。(詳細は割愛)
採点が終わったら全ての得点を合計し、全てのタスクを以下に分類します。
放棄タスク:すぐに辞めても目立った悪影響がないタスク
委任タスク:最小限の手間で他人に任せることができるタスク
修正タスク:内容を見直せば価値を高められるタスク
これにより価値の低いタスクにかける時間を大きく削減することが出来ます。
私は点数付けまでは習慣化出来ていませんが、やることのリストアップとそれらが上記3タスクのいずれに当てはまるかの目星を付ける、という具合で部分的に取り入れています。
誘惑日記で肯定的すぎる想起を正す
「誘惑日記」は、想起が肯定的なタイプ(自信家・楽天家)向けに、肯定的に解釈しすぎた過去を正すためのエクササイズです。
やることは簡単で、その日に起きた「誘惑に負けた体験」を思い出し2~3つほど書き出します。
例えば「SNSを見てしまって仕事に集中出来なかった」など、1~2行のシンプルな文章でメモをとるだけです。
このように定期的に文章化することで、自分の行動パターンが脳にすり込まれ、想起のずれが修正されていきます。
記録のタイミングは1日の終わりがベストで、1回3分もかからないので、是非試してみると良いかと思います。
私は一時期これに取りくみ、自身が脱線しやすい状態を認識することが出来ました。
対策としてなるべくその状態を避けるようにに意識的に行動しています。
生きがいチャートで人生の満足度を高める
「生きがいチャート」は時間感覚を調整するエクササイズではないのですが、
人生の満足度を高めるために有用だと思いましたので、ご紹介いたします。
生きがいを見つけることで、単なる時間の効率化から解き放たれ、心から満足のいく時間の過ごし方が出来るようになります。
生きがいチャートは以下の4つの観点で、自身の活動を振り分けます。
①自分が楽しいこと
②世間が必要とすること
③世間から金銭がもらえること
④自分が得意なこと
そして4つ全てに当てはまるものがあなたの「生きがい」となります。
しかし4つ全てに当てはまるものをはじめから見つけることはなかなか難しいです。
そこで、複数に当てはまるものに足りない要素を足していくことで、生きがいを作ることを目指します。
たとえば①②③には当てはまるが、④が足りない場合、自分が得意になれるようにレッスンを受けるなどを考えます。
このような整理をすることで、今の自分に不足していることが分かるというエクササイズとなっています。
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上記はごくごく一例です。本書にはたくさんのエクササイズが載っていますので、ご自身にあうものを是非探してみてください。
関連書籍・合わせて読みたい書籍
最後に、同書の関連書籍・合わせて読みたい書籍を簡単にご紹介します。
エッセンシャル思考
予期が多いタイプ(容量超過 or 禁欲家)向けにおすすめです。
自身にとって価値のないこと(非エッセンシャル)をいかにやめていくべきか、具体的な方法が記載されています。
SSCエクササイズと合わせて、こちらの書籍の内容も合わせて実施していけると良いと思います。
限りある時間の使い方
YOURTIMEでは時間感覚を調整するエクササイズと別に、「効率化から解き放たれる」「退屈を追い求める」という章があるのですが、こちらの書籍はその2章に類する内容が本一冊丸々書かれています。
この本もYOURTIMEと同様に、モグラたたきのように生産性を高めてはまた忙しくなる、を繰り返すのではなく、本質的に平穏な暮らしを目指したい方にお勧めです。
不老長寿メソッド
同著者の鈴木 祐さんの書かれた健康本です。
YOURTIME同様に科学的根拠満載で、アンチエイジングの切り口で、取り入れるべき生活習慣等について解説がされています。
時間術の本ではありませんが、同じ時間を過ごすならば少しでも健康によいことを選択するようにすることで、人生の満足度を高めることが出来ると思います。
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鈴木 祐さんの書かれた本は科学的根拠満載で、いつも納得感があります
まとめ
今回は、「YOURTIME」の書評でした。
私が実際に取りくんで良かったことは以下3点です。
SSCエクササイズで予期の数を減らす
誘惑日記で肯定的すぎる想起を正す
生きがいチャートで人生の満足度を高める
上記は本書のごくごく一部に過ぎませんので、是非実際にお読みになることをおすすめいたします。
それでは以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました^^
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